探偵学園Q
「ねえ……あたし明日行きたくない」

「んふ…何を突然言いだすかと思えば。これは任務ですよ」

「……気分が悪いんです。あなただってさっきあたしが吐いてる瞬間見てたはずですが」

「…随分と生意気になったものですね。まあいいでしょう。ハデス様に連絡をしておきますから」




バタン






朝から吐き気がした。

いや、正確にはずっとしている。




「……ゔ…っ」




何度胃液を吐きだしただろうか。

何も食べていなかった胃の中からは、通常のどろっとしたものはでてこなくて、ただ朦朧としている意識をよそに吐き続けた。




「……はあ…っ…はあ」




なんでかはわからない。

でもなんで団先生があの場にいたの?


“連城”って誰?

“パパ”って誰のことなの?





「…団先生は知ってるのかな」




あたしの出生について。

なにか調べてわかっているかもしれな…




「……ハア。あたしどうかしてる。パパは任務中に事故で死んだんだから…」




わかってる。
わかってるのに…

何かが心の中でもやもやしている。

何かがひっかかって…




「最近いろいろあったから疲れたのかな」




いままでこんな夢を見ることなんてなかったのに。

冷や汗を拭いながら窓の外を見上げる。
数日間太陽の光にあたっていなかっただけで、その明るさに目眩を起こす。




「……そうだよ疲れてるだけ。疲れてるだけなんだから」





自分を責めるように言い聞かせながら、あたしはまたゆっくりと闇へ眼を閉じた。








「今朝から優衣の様子がおかしいのですが。ハデス様」
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