探偵学園Q
「え?」



わずかに聞こえた声が聞き取れずもう一度聞き返すが返事はない。



「お前今なんて」

「あーあたし寝るから」

「おい!」

「おやすみ」

「あ…」



問いつめようと伸ばした手は山内の『シャットアウト』により行き場をなくしていた。

“……けて”

聞き取ることのできなかったその言葉がやけに気になって仕方ない。



「………」



静かになった部屋に聞こえるのはわざとらしい寝息だけ。

自然と苦笑をすると俺は山内を残して部屋を後にした。








「……はあ」



事務所に戻っての第一声は大きな溜め息だった。

まあ仕方ねえよな。

けっきょく山内に関しては何もわからずじまい。


こうなったら団先生に聞くしかないのか…。

最初はちょっとした好奇心から調べ始めたはずが、気づいたら夢中で躍起になりながらも調べていた。

そのうえにあんな悲痛な声聞いちまったらなあ…



「…もう引き下がれねえよ」



っていうか、引き下がっちゃいけねえ気がするんだ。

探偵として…。

あいつの担任として……





─バサッ
< 145 / 195 >

この作品をシェア

pagetop