探偵学園Q
あと5分。
ケルベロスの告げた予告の時間まであと5分をきったのに体には何も異常が起きてこない。



「突然心臓麻痺でも起きるって言うわけ?」



嘲笑いながら森の中でしゃがみこんでタイムリミットの時間を待つ。あと4分…3分…、物音一つしない空間の中には時間を刺す針の音しか響かなくて、それが逆に恐怖心のようなものを煽る。

催眠をかけられた当初の体のだるさすらも感じられなかった。



「あたし本当に死ぬのかな…」



ボソッと呟くと、背後から「ええ、死にますよ」と、聞こえるはずのない返事が返ってきた。



「…ケ…ルベロス…っ」



何でここが、と聞きたくても驚きの余りにあたしの顔からは血の気が引いていって言葉にできない。

何で彼はあたしがここにいることを知っているの…。

ここなら誰も来ないだろうと思ってきたのは、人気のない森の中だ。近くにホテルらしきものがあるらしいが、あまり客はこないらしい。



「なぜ私がここにいるのかわからないっていう顔ですね」

「…な、なんで」

「んふ…すべては私の計画通りですからね」

「…計…画?」



恐怖から体が震え始める。



「……“あなた”という山内優衣には死んでもらいます」

「え…?」



“あたし”が、死ぬ…?

それって…
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