探偵学園Q
「…もしもし」

《ユイ?》

「リュ、リュウ!」

《今日なんで来なかった?いまどこ?》

「え、あ…えっと」




突然のリュウからの電話に周りを見渡す。
でもさ。


ここどこ…?



「わからない;」

《え?》



電話先から聞こえる呆れた声。

さっきユリエさんに叱られて、ボーッとしながら歩いてきたせいで道に迷ったらしい。

外も真っ暗でいつのまにか夜になっていた。



《周りの景色とかで大体がわからないのか?》

「うーん;外歩いたことなかったからわからない」

《は?》




あたしの「外を歩いたことがない」発言に、戸惑ったのかリュウらしくない素っ頓狂な声になっている。


仕方ないじゃない。
本当に今まで外を歩いたことがなかったんだから……

いつもあの黒の部屋で独りで遊んでた。

だから友達もいなかったし、それをつくる統べさえも知らなかったの。



それが飼い猫とよばれたあたし。





《…とりあえず僕達は犯人がわかったから、いまから小学校に行く》

「うん。あたしも急いで行くから」

《夜だから気をつけて》



その言葉だけで舞い上がってしまう。
さっきユリエさんに叱られたばかりなのに。学習してないな、自分。



「…うん。じゃあ切るね」



でもこの気持ちは愛着とは違う気がするよ…



pi



自分でもわからないけど。




「…ってかここ本当にどこ;?」
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