探偵学園Q
数日後。

カズマから電話が来た。



やっとあたしの出番がきた。




パトカーが到着したのを確認してから倉庫に足を踏み入れる。




「…………」




あたしは何喰わぬ顔で、キュウ達に近寄り、諸星警部に取り押さえられている落合を傍観していた。

すると、手錠がかけられる間際に落合があたしの姿に気づいたのか「あ!」と叫ぶ。




「ユイ知り合いなの?」

「…………。」




隣でメグが心配そうに聞いてくる。

安心して…




「さあ…。見たこともない」




もうすぐこの男の記憶は消えるから。
すべて…。




「お前…っ」

ガチャ

「!」

「ばいばい…依頼人さん」




誰にも聞かれることのない呟きはパトカーの音に消えていった。

そして

あたしのつくった初の殺人事件が幕を閉じた。





―――――――
――――



「あの男の始末はどうなさるの?」

「手錠をかけられると全ての記憶を失う強力な御催眠をかけておきました……んふ」


「それにしても困ったものです。リュウ様にも…あの汚らわしい女にも…。」


「…まあ初めて作ったわりには上出来なんじゃないですか?」


「……。あなたは結局あの子に甘いのね」

「利用できるものは利用するべきでしょう」

「……本当にそれだけですの?」

「…どういう意味でしょうか」



「私にはあなたがあの子を手放したくないように見えますのよ?」



「…………ふ。まさか」
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