探偵学園Q
「あたしもう計画書は作りません。作りたくないんです」


「リュウ様に恋心を抱いてしまったからですか?」

「な…んで知ってるんですか」

「んふ…美南恵という少女と仲良く話していましたよね」




“それでお相手は?”

“リュウ?”

“なんでわかったの?!”




「まさかあの場所にいた?!」



そんなはずがない。
誰かに変装しないかぎり気づかないわけがない。



「違いますよ」

「じゃあ……っ」

「んふ」



不適に笑うケルベロスに顔が一気に青ざめた。




「まさか…」



嘘だ…っ

嫌な予感がしてチョーカーを首から外す。
ありえるのはプレートの裏。



「……あった」



プレートに微かに穴が開いていた。
これは……



「…盗聴器なんか使ってずっと会話きいてたの?」

「……」

「あたしにリュウを監視しろって言ってたくせにあたしのことあんた達が監視してたの!?」




あたしは信用されてなかった?



「ハデス様の命令ですよ」

「ハデス様が?」

「とうとう始まったんですよ。リュウ様の時代が」




さっきから何を言ってるの?



「リュウ様は必ず私たちの元に戻ってくる。そうしたらあなたはリュウ様の為に働く駒となります」

「…これはその育成期間ってこと?」

「……クス」




肯定の意味なのか、ケルベロスはクスリと嫌な笑みを浮かべると部屋を出ていった。


監視されていたのはあたしだった。

部屋に残されたあたしにわかるのは、たったそれだけのことだった。




「こんなの…っ」





“良い子だ”



「……っ」





壊したくても壊せない。

裏切りたくても裏切れないよ。

ハデス様…。


あなたには感謝しているんです。




「くそお…っ!!」





黒の部屋には、虚しくあたしの声だけが響いて


消えた。
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