探偵学園Q
ねえ…」

「え?な、なに?」



いきなりリュウから話し掛けられて、自然とあたしの声が裏返る。



「そのチョーカー…。アンティーク物じゃない?」



リュウはそういうと、あたしが首に付けている黒の革生地のベルトに金のプレートがぶらさがっているチョーカーを指差した。



「え、わかんないけど…。誰かにもらった気がする……」



誰だっけ…。

――ズキン



「うちにも昔似たやつあったから。革とか見た感じ本物っぽいし…」

「へえー。そうなんだ」



見ただけでわかるってすごい……。



「それだけだけど…」



リュウはそれだけ言うと、階段を上に昇っていった。

なんなんだろ…
この嬉しさみたいな気持ち




「リュウ!」




あたしは少し深呼吸をすると、数段上にいるリュウを見上げて叫んだ。



「……なに?」




「これからずっとよろしくね!」





これが友達ができた嬉しさなのかな?
それならあたしはいま、すごい幸せだよ。




「………う「あったりめーじゃん」

「キンタ!」

「ユイったら声でかすぎ;」

「ぜんぶ丸聞こえだったって…」

「メグにカズマ…」

「ほんとこのビルが壊れるかと思うくらいでかかったね!」

「え……?」



なに?
キュウ。そこは笑うとこなの?;

まったく笑えないんだけど…;



「………」



ふとリュウを見ると、パチッと一瞬だけ目が合ってすぐに逸らされた。

でもなぜか、不思議とショックな気持ちはなくて、自然とほおがゆるむ。




そのときのあたしは
初めてできた友達が本当に嬉しくて、大切なことを忘れていた。


あのときのあたしは
「あたし」だけど自分じゃない。



あたしは馴れ合いのためにこの学園に入ったんじゃない。




あたしは…………






~To Be Continue~
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