探偵学園Q
どれだけの時間がすぎたんだろう。

あたしとユリエさんはしばらくの間、お互いを見たまま何も喋らなかった。






「なんの…つもりですか?」




深呼吸をしたあとのあたしの声は、大きく震えていたのがおさまっていた。




「綺麗に撮れていたでしょう?あなたとリュウ様が抱き合っている写真…」

「盗聴だけじゃなくて盗撮…趣味が悪すぎです。神経を疑いましたよ」




ひと睨みするとユリエさんはあたしに一歩近づいて手を振り上げた。

パンという音が乾いた空気にこだまし、頬に痛みか走る。




「…随分と生意気な口をきくようになったのね」

「………」

「…はあ。まあいいわ。あなたも覚悟を決めてここにきたんでしょうから…」


「リュウ様を助けたいならあなたがまた…あの部屋に戻れば、私たちはリュウ様を解放しましょう」



「ケルベロス!」




どこからかケルベロスまでもが表れてあたしを囲む。

そうだ。
リュウを助ける条件はあたしがQクラスに入る前の状態に戻ること。


一見簡単そうに聞こえるその条件は、二度とリュウやメグ達と会えないことを含んでいた。




「…おかしくないですか?あたしとリュウは身分が違うっていうくせに…こういうときは同じ立場なんですね」




あたしの呟いた言葉に微かにケルベロスの顔が歪む。




「……あなた達があたしに固執する意味…ほかにあるんじゃないですか?」




まるで何かの秘密をバラしたくないから、あたしを人と深く関わらせないようにしてるみたいに……
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