恋、涙 …
突然部屋の中に響いたのは、葉月の明るい声。
「…どうした?」
彼女だし、勝手に家に入られても、俺は怒らない。
「ううん…大した用事じゃないんだけど。あ、恭平くん!久しぶりっ♪」
葉月は細かいことはあまり気にしない性格で、案の定、なぜここに恭平がいるのかも、そんなに気にしていないようだった。
「あぁ…葉月、今日からしばらく恭平がここに泊まることになったんだ。」
一応説明。
「…うん、わかった。」
俺の隣に座る葉月は、理解したように頷いた後、笑顔で恭平を見た。
なんか…気に障る。
「葉月ちゃん、いつまでかわかんないけど、これからよろしく♪」
「うん!恭平くんを見てると、高校の時を思い出すなぁ…すごい懐かしい。」
久しぶりの再会にしては妙に仲が良い2人に疑問を覚えながらも、俺はその気持ちをスルーしてしまった。
その時に気付けば…
あんな辛い光景を、見ることはなかったかもしれないのに─