恋、涙 …



突然部屋の中に響いたのは、葉月の明るい声。



「…どうした?」



彼女だし、勝手に家に入られても、俺は怒らない。



「ううん…大した用事じゃないんだけど。あ、恭平くん!久しぶりっ♪」



葉月は細かいことはあまり気にしない性格で、案の定、なぜここに恭平がいるのかも、そんなに気にしていないようだった。



「あぁ…葉月、今日からしばらく恭平がここに泊まることになったんだ。」



一応説明。



「…うん、わかった。」



俺の隣に座る葉月は、理解したように頷いた後、笑顔で恭平を見た。



なんか…気に障る。



「葉月ちゃん、いつまでかわかんないけど、これからよろしく♪」



「うん!恭平くんを見てると、高校の時を思い出すなぁ…すごい懐かしい。」



久しぶりの再会にしては妙に仲が良い2人に疑問を覚えながらも、俺はその気持ちをスルーしてしまった。



その時に気付けば…



あんな辛い光景を、見ることはなかったかもしれないのに─











< 100 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop