恋、涙 …
先生の好意に甘え、今日は送ってもらうことにした。
「あっ…私、部室に荷物置きっぱなしです。制服も…どうしよう、先生?」
練習中にいきなり先生に手首を掴まれて、ここに連れて来られたから…
「取りに行こう。ないと…明日学校来れないし。それじゃ困る…よな?」
先生の一言で、私たちは暗い廊下で2人きり。
部室までは…
ここから結構離れてる。
「大丈夫か…?」
怖がってるからか…
いつもより私に気を遣ってくれる、優しい先生がそこにいた。
ちょっとした物音だけでも、暗い廊下では恐怖の対象になる。
「嫌だ……っ!!」
冬だから寒いし、それが余計に恐怖感を倍増させる。
「篠原…もうすぐ着くから。」
寒いし、怖いし…
私はその場にしゃがみ込んだ。
「うぅ…」
「そんなに怖いか?」
先生の言葉にも反応出来ず、私は震えていた…
「ほら…行くぞ。」