恋、涙 …
先生も荷物取りに行かないといけないしね…
職員室は比較的部室の近くにあるし、すぐに行ける。
さすがに恥ずかしくて、もう手は繋げないけど…
まだちょっと怖くて、私は警戒しながらも先生の後ろにくっついて歩いた。
「篠原…大袈裟。」
職員室に着き、自分の荷物を取って帰って来た先生が、私を見て言った。
「先生は…怖くないんですか?こんな暗いのに…」
何か出そうだもん─
夜の学校って、怪談話にもよく出てくるし。
「俺はそこまで女々しくねぇよ。それに、幽霊とか信じないし。」
私はいると思うよ…
「そんなことより早く帰るぞ。あと…これ羽織れ。」
そう言って先生が私に向かって投げたのは、ジャージの上着だった。
「寒いだろ?そのままじゃ、風邪…引くから。」
そんな先生のちょっとした優しさに、私はドキッとした。
気持ちを抑えて渡された上着を羽織り、先に歩き始めた先生を早足で追った。