恋、涙 …
送 side kazuma
篠原に、話してしまった…
俺の過去。
思い出したくない事実を─
忘れ去りたいことを…
どうして話したのかは、今でもよくわからない。
ただ1つわかるのは…
人を信じることをやめた俺が、いつの間にか篠原なら信じれると思ってた。
葉月に再会して、その場面を篠原に見られて、俺は正直焦ったんだ…
誤解されたくない─
その一心で、俺は体育館まで篠原を追いかけた。
それまでの気まずかった状況なんて、あの一瞬で吹き飛んでいった。
ったく…
俺は何がしたいのか?
「家…どこだ?」
帰る支度を終え、駐車場まで篠原と一緒に来た。
これから…
篠原を送って帰る。
自分で言い出したことだけど、今更ながらに何を考えていたのかと思う。
生徒を送るなんて…
初めてだ。