恋、涙 …
「先生…」
「なに?」
「あ…いえ、何でもないです。私の家…ここから結構近いんですよ。」
何か言いたそうにしながらも、篠原は自分の家の場所を俺に教えた。
「家…誰かいるか?」
学校から出て、車が信号で止まった所で篠原に聞いた。
「えっ…あぁ、お母さんなら家にいると思います。でも…どうして?」
「遅くなったこと、謝ろうと思って。俺のせいだし…」
気付けば、時間はもう6時30分を過ぎていた。
「そんな…いいですよ、気にしないで下さい。」
「いや…一応、な?」
俺は篠原の担任ではないが、部活顧問には変わりない。
今回のことは部活とは関係ないけど、一応教師としての責任があるし…
きっと、篠原のお母さんも心配しているだろう。
「先生…ここです。」
時間は7時前─
やっと篠原の家に着いた。