恋、涙 …
いつかの…
あの屋上での出来事。
『先生には笑っていて欲しい』と言って、俺に涙を見せた篠原…
あれは、俺がやっぱり人の…特に女の涙には弱いと、実感させられた瞬間でもあった。
篠原の目から零れた涙は、握り締めた手や制服のスカートの上に落ちる。
見てて…辛かった─
その時、篠原が俺に言った言葉の通りに思っている自分がいることに気付いた。
『笑って欲しい』
篠原には…
笑顔でいて欲しい、と─
「………!!!」
「篠原…俺はここにいるから。だから…遠い人なんかじゃない。」
身体が勝手に動いた。
気付いたら…
俺は篠原を抱きしめていた。
「だから…大丈夫。」
「…うっ、っ!…でも、」
もう…戻れない。
戻るつもりはないけど─
「俺…お前が好きだ。」