恋、涙 …
「あぁ…疲れた。」
体育館を出て、校舎へと続く渡り廊下を歩いている途中に、先生が呟いた。
「ごめんなさい…悠哉、全然気を遣ってなくて─」
「いや…いいよ。」
まさか悠哉に話を聞かれるなんて、思ってもみなかったけど…
「あ…俺、お前に日本史教えた覚えはないけど?」
「…ごめんなさい。」
あれは…
その場しのぎだって。
悠哉に『先生と2人っきりで話してた』なんて、言える訳がないもん─
「まぁ…よく出来た言い訳だな。」
そんな嘘っぱちの言い訳に騙される悠哉も、誉めてあげて欲しいなぁ…なんて。
「咄嗟に思い付いたことを言っただけですよ。」
「悪いな…お前、中津には隠し事なんてしたくないだろ?」