恋、涙 …
それにしても…
あれから先生は、葉月さんの名前を口に出さない。
私が泣いたからかな…?
『一言も話して欲しくない』なんて、わがまま言ったからかな…?
もしかして、1人で解決しようとしてるとか…?
板書が終わり、先生の言葉に耳を傾けるものの、内容はあまり頭に入らない。
私の頭の中は今…
不安と疑問ばっかりで─
『どこにも行かない』と言っていた先生が、やっぱりどこかへ行っちゃうような気がして…
付き合ってると言っても、私と先生の関係は、以前とほとんど変わってない。
だから…不安だよ。
「…よし、じゃあ授業終わり。また来年な!」
そう言って、少し早く授業を切り上げた先生の所に、特に女子が群がって話をしに行く。
私は行かない。
日本史の教材を鞄の中に入れ、私は机に顔を伏せた。