恋、涙 …
葉月さんの意図は、私には全然理解出来なかった。
男の人たちは、案外あっさりと帰っていったし…
ロープで縛られた手足は、先生がほどいてくれて、自由になった。
「もう大丈夫だからな…篠原、怪我してないか?」
「…うん。」
心配そうな表情をする先生に、私はギュッと抱き着いた。
もう大丈夫…
先生がいるから安心─
「何やってるんだろ…私、本当にバカみたいだね。」
恐怖心が消えて、ほっとしていた時に、突然葉月さんがそう呟いた。
「葉月…?」
今までの態度と一変した葉月さんを見て、先生も警戒している様子。
私を抱き締める力が強いことが、それを物語ってる。
「おかしいよね…どんなに後悔したって、もう過去には…あの頃には、絶対に戻れないって言うのに─」
ますますわからない…
葉月さんは、一体何がしたいのだろう…?