恋、涙 …
第9章
醒 side kazuma
「………ぇ!!」
なに…?
よく聞こえない─
葉月に刺されて、篠原が無事だって確認して…
それから記憶がない。
ちなみに俺は一応、生きてはいるようだ。
微かにだけど、救急車のサイレンの音や、周りの人の声は聞こえたし…
にしても…
すげぇ痛かった。
明らかに様子がおかしい葉月に警戒はしてたが、まさかあんな行動に出るなんて…
とにかく俺は、篠原を守らなきゃいけないと思った。
この際、自分がどうなっても構いはしない。
その一心で、俺は篠原と葉月の間に入った─
「…先生!?」
「杉田、起きろ!!」
んん…?
なんだよ、騒々しいな。
誰かの声が聞こえ、俺はゆっくり目を開けた─