恋、涙 …
目覚めたからと言って、まだすぐ退院は出来ない。
傷も塞がってないし、しばらくは入院生活だって…
「もし何かありましたら、すぐに呼んで下さい。」
そう言い残し、お医者さんは病室を出て行った。
「にしても…杉田は、向こう見ずな奴だよな─」
悠哉は呆れたように言うと、私の隣に座った。
「あ〜あ。杉田がこのまま眠ってくれてたら、希は俺のモノだったのに…」
ちょっと…悠哉?
変なこと言わないでよ。
「誰が渡すかよ……あ、」
「いいよ。俺、本当は知ってたんだ。だいぶ前から、希は多分杉田のことが好きなんだろうなって思ってたし、最近楽しそうにしてたから…希が笑ってる時は、いつも杉田が側にいた。」
ちょっと悔しいけどな─
悠哉はそう言って立ち上がると、病室の窓を開けて外を覗いた。
そして…
「杉田…お前に任せた。希のこと、頼むな─」