恋、涙 …
小さな声で、悠哉は窓の外を見たまま言った。
顔は見えない…
けど、その時悠哉の肩は小刻みに震えていた。
「中、津…?」
「…希を、泣かしてみろ。この俺が…絶対、許さない。その時は、容赦なくお前を殴ってやる!!」
そう言って振り向いた悠哉の目は、少し濡れていた…
「泣かさねぇよ…中津、お前に心配される…っ、筋合いは、ねぇな。」
「だったらいい…」
俺は邪魔になるな。
悠哉はそう言い残して病室を出て、私と先生の2人きりになってしまった。
「先生…大丈夫?」
傷が痛むのか、時折顔を歪める先生に話しかける。
「大丈夫…ごめん、篠原。」
あれ…?
戻っちゃってる─
なんだか残念だな…
「あの…先生、さっき…悠哉が帰って来る前…」
「ん?なに?」
「あ…っと、私のこと…の、希って言いました?」