恋、涙 …
それから俺たちは、微妙に距離を取って歩いていた。
希が少し前で…
俺がその後ろを歩く。
なんだか今の俺は、希の彼氏と言うよりも、保護者みたいな感じで嫌だ。
まぁ立場上、仕方ないような気もするんだけど…
「あれ、希と杉田?」
しばらく歩いていると、よく知る顔に出くわした。
「悠哉じゃん。何してるの?」
中津だった。
そう言えば、私服のこいつを見るのは初めてだな。
「何って…買い物。母さんに頼まれちゃってさ…それより杉田、退院おめでとう!!」
相変わらず馴れ馴れしい口調で、中津は言った。
「あ〜…おぉ。」
「よかったな。部活の奴とか、クラスの奴とかも心配してたぜ。」
希以外の生徒で唯一、俺が入院していた本当の理由を知っている中津。
それに、俺と希のことも黙認してくれてるしな…
お人好しと言うか、いい奴だな…と俺は思っている。
「そうだ。杉田、冬休み明ける前…っと、正月終わったらまた部活あるから、絶対顔出せよ?」
絶対?
……なんで?