恋、涙 …
世話のかかる奴だ。
けど、俺は希に出逢って助けられたんだ…
人を恨んで、人を信じない生き方をしていた俺に、希は光を差してくれた。
俺の中の深い闇は…
希。
お前のおかげで、綺麗さっぱり消え去ったんだ─
ただの生徒だと思っていた奴が、今となっては俺にとって大切な存在。
本当、人生って何が起こるかわかんないよな…
「希、降りろよ。」
助手席のドアを開け、希に降りるように言った。
けど…
希は下を向いて動かない。
「…希?どうした?」
気分でも悪いのか?
「先生…」
「…なに?」
「無理だよ…こんなの。先生、なんで?私…何もしてないのに…」
あぁ…わかった。
希は遠慮してるんだ。
誕生日だからって、俺に高い物を買わせるのは悪いって…そう思ってるんだ。
「バ〜カ、遠慮なんて今更されても困る。ほら…いいから降りろって。」