恋、涙 …
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それから数十分後…
センスのない俺が悩みに悩み抜き、ようやく希の誕生日プレゼントを決めた。
店員に『彼女さんへプレゼントですか?』と聞かれた時は、無性に恥ずかしかった。
だから…
1人は嫌だったんだ。
センスがないのも理由だが、1人であんな店に行くのは最初から気が重かったんだ。
失敗した─
今更ながらに気付く。
希ではなく、陽翔先生に付いて来てもらえばよかったんだ…と。
ちなみに、買ったものはピンクのハートの可愛いネックレス。
希に似合いそうだし…
「……お待たせ。」
車に戻ると、携帯をいじっていた希が顔を上げた。
「あ…お帰り、先生。」
「うん。あのさ…希。早速だけど、これ…やる。」
俺は、今買ってきたばかりのものを希に押し付け、視線を反らした。