恋、涙 …
でも…
それは見込み違いだった。
禁断とか言われて、普通に考えればあり得ないようなことでも、本人たち次第でどうにでも出来る。
俺は…
2人にそれを教えられた。
気付いたのは恐らく、最初の方だっただろう。
特に球技大会以降、妙に作ったような笑顔しか見せなかった杉田が、少しずつ変わっていくように感じた。
彼女が出来た発言を本人の口から聞いた時は、まだしっくり来なかったんだけど─
確信を持ったのは…
希が行方不明になった時。
実はあの時、希を探しに行くふりをして、杉田を見ていたんだ。
杉田の携帯に電話がかかってきて、それから血相変えて教室を飛び出した杉田を見て、あぁ…やっぱりそうなんだと思った。
『篠原を返せ!!』
こんな感じのセリフだった。
あんな場面を見たら、どんな鈍い人でもわかるだろう。
いつの間にか…
進展していた2人の仲。
俺だけ…
置き去りだった。