恋、涙 …
本当は、この勝負も意味がないものだってこと、ちゃんと理解していた。
どんなに足掻いても、俺は希の心には入れない。
負けだよ…杉田。
俺の完敗だ。
「杉田…1つだけ、俺から頼みがあるんだけど。」
「ん?」
希が勝負に使ったボールを倉庫に片付けに行ってくれている間に、俺は杉田に言った。
「…希を、離すなよ。」
今でも希は、俺の中でとても大きい、大切な存在。
でもそれは…
幼なじみとしてだけど─
「……当たり前だ。」
俺の言葉に、杉田は鼻で笑って答えた。
こいつに任せておけば、希はきっと幸せになれる。
俺は今まで通り…
幼なじみとして、希を支えていける存在になろう。
杉田の顔を見て、俺は決意した。