恋、涙 …
どう答えようか迷っていたその時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「悠哉…」
私の友達を前に得意げな笑みを見せ、存在しない人の名前とあだ名まで言った。
それ…
先生の偽名??
「ま、希はいっつもかーくんって呼んでるし、バカだから名前忘れちまったのかと思って…つい勝手に答えちゃった♪」
『俺に合わせろ』
悠哉の目線がそう言っている。
「何よ!!私はバカじゃないし、悠哉に言われると余計にムカつく!!それに、かーくんの名前だってちゃんと覚えてるもん!!」
悠哉…ありがとう。
そう思いながらも、私は悠哉と嘘の言い合いをする。
「まぁまぁ、落ち着いて2人共…」
佳奈が私と悠哉の間に割って入り、言い合いを止めた。
「でも…希と彼氏の仲が中津くん公認だってのは驚いたよ。」
「おい、吉川。俺は希の親かよ!?ま…なんだ?かーくんは優しいしな、それから…」
悠哉が突然作り出した架空の人物、かーくん。
一瞬バレるかと思ったけど、おかげで助かったよ…