恋、涙 …
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「本当…ヤバかったよな。」
始業式の後、みんなが帰って静かになった教室で、悠哉がポツリと呟いた。
「かーくん……ぶはっ!今思えばかなり笑えるな。」
「そうだね…」
でも、先生の名前は『一真』だから、あだ名が『かーくん』でも別にいいんだ。
「希、これからかーくんって呼んでやれば?きっと杉田、言葉失うぜ!」
2日前の勝負以来、悠哉と先生の仲が前よりも良くなったような気がする。
何か…あったのかな?
「え〜?…そんなの恥ずかしくて絶対無理だよ。」
「今の『先生』よりはいいと思うけどなぁ…杉田だってさ、」
悠哉…
後ろ、後ろ!
必死に目で訴えようとするけど、悠哉は気付かない。
悠哉の後ろ…
教室の入り口に
先生が立っていた。
「……俺だってなんだ?中津。」