恋、涙 …



悠哉がいなくなり…
2人きりの教室。



誰かが廊下を通る気配もなく、静かな空気が流れる。



「……ったく、中津は元気過ぎてついて行けないな。」



そんな中、私の前で立っていた先生が、近くの席に座って言った。



「先生…」



私は先生の隣の席に座り、先生と向き合えるように体を横にした。



すると…



「…あれ?希、さっきのは?」



えっ?
予想外の言葉…



「中津にはあぁ言ったけどさ…『先生』って呼び方、なんか味気ない。」



味気…ない?



「その呼び方だとさ、学校にいる先生全員が対象だろ?俺だけが呼ばれてるって感じがないし…ま、他の奴だったらいいけど、希には…せめて『あれ』がいいな。」



『あれ』って…
さっきの…だよね?










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