恋、涙 …
隠し事は、出来ることならしたくはないが…
こればっかりはな─
陽翔に迷惑をかけることにもなってしまうだろうし。
ここはしばらく会っていないけど『あいつ』に頼るのが先決…かな?
HRを終えた後、1限の授業がない俺は、その空き時間を利用して『あいつ』に連絡を取ることにした。
連絡先…
消さなくてよかった。
でもこれは、希に対する立派な裏切り行為だ。
携帯を持って考える。
本当にいいのか?…と。
『あいつ』とは、いくらお互いに本気ではないとわかっていたとしても、関係を持っていたことは事実だ。
「……希、ごめんな。」
決めた。
一言そう呟いて、俺は意を決して通話ボタンを押した。
『…どうしたの、一真?』