恋、涙 …
「……篠原は?」
次の授業は日本史。
教室にやって来た杉田は、出席簿を開くと、空席になっている希の席を見て言った。
「早退しました〜」
誰も答えようとしないので、俺がいつもの調子で答えてやる。
すると…
「…そう、か……」
杉田は寂しそうに目を伏せて、下唇を噛み締めた。
でもそれは一瞬で、すぐに授業に入っていった。
やっぱり…
何かあったんだ。
さっきの杉田の様子を見れば、俺はそうだと察することが出来た。
希の早退は杉田に関する何かが原因だと、俺はその時確信した。