恋、涙 …
俺はずっと『あいつ』の反対方向を進んできた。
辛くて…逃げた。
もう二度と、あの時と同じ痛みを味わいたくない…
だから、女なんて誰でも同じだと思い込んだ。
恋なんて…
絶対にしないと決めた。
いろんな奴に手を出して、軽い男だと言われようが俺は全然気にしない。
本気の恋よりは…
そっちの方が断然楽だ。
そう考えるようになり、俺はますます冷めた人間に変わっていった。
教師なんて…
本当に向いてないな。
俺は弱い人間だ…
なんとなく職員室には戻りたくない気分だった。
俺は進む方向を変え、屋上に続く階段を上がる。
立ち入り禁止だけど…
鍵、持ってるし。
俺は屋上管理係の立場をいいように利用して、たまにここにやって来る。