恋、涙 …
「杉田!!!!」
授業終わり。
素早く教室を後にした杉田を追って廊下に出た俺は、杉田を大声で呼び止めた。
「…うるさいぞ、中津。」
俺の声に振り向いた杉田は、小さな声で答えた。
「お前………っっ!」
俺は希のことを聞いてやろうとしていたが、言葉に詰まってしまった。
なぜなら…
杉田の目が、さっきとは一転して、鋭い目つきに変わっていたからだ─
「中津、それはここで言う話じゃない。…後にしろ。」
固まった俺に、杉田はいつもより低い声でそう言うと、背を向けて歩き出した。
…怖い。
杉田に対してこんな感情を持ったことは、初めてだった。
俺はその後、担任が教室に来るまでその場から動くことが出来なかった─