恋、涙 …
それからHRを終えてしばらくしても、杉田のあの鋭い目つきが頭から離れなかった。
あれはまるで…
希と付き合い出す前の、冷たい杉田そのものだった─
「…悠哉先輩!!」
あの鋭い目つきを思い出しながら、部活をするために体育館に向かう途中、前から1年のマネージャーが走って来た。
「実里【ミノリ】ちゃん…?」
「はぁ…はぁ…先輩、杉田先生が…すぐに、職員室に来るように…って。」
杉田が…?
「なんか、いつもと違う感じで…怖かったんですけど…何か、あったんですかね?」
他の奴にもあんな目を?
尋常じゃ…ないな。
「…わかった、すぐ行くよ。実里ちゃんは部活に戻ってて。…大丈夫だから。」
不安にさせないように出来るだけの笑顔を見せると、俺は方向を変えて職員室へと向かった。