恋、涙 …
氷 side kazuma
「……杉田。」
恐らく感付かれた。
そう思った俺は中津を呼び出し、職員室の前で待っていた。
しばらくして、中津は俺の呼び出しに素直に応じてやって来た。
「どういうつもりだよ?」
「…ここじゃ危険だ。場所変えるぞ。…こっち。」
職員室前はたくさんの生徒や先生方が出入りするし、この話をするのは危険だ。
俺はポケットに入れていた社会科準備室の鍵を取り出し、歩き始めた。
「入れよ。」
ここまで来る途中、俺と中津の間には一切会話がなかった。
「中津…」
準備室に入り、話を切り出そうとしたその時─
「…杉田はさ、言ったよな?…希を、守るって。」
俺の言葉を遮り、中津が低い声で呟くように言った。
俺はその言葉に…
明確な『怒り』を感じた。