恋、涙 …



「……あぁ、言ったな。」



中津の『怒り』を感じながらも、俺はそれを無視して答えた。



「その思いは今も少しだって変わってない。ただ…事情が変わったんだ。」



俺のこの決意は、希を傷付けることになるくらいちゃんとわかっていた。



わかった上で…
苦渋の決断をしたんだ。



「事情…?希を傷付けなきゃなんねぇ事情って何なんだよ!!!」



「…………」



「ふざけんなよ……」






俺は思ってしまった。



中津だったら…
よかったのかな、と。



俺を選んだばっかりに、希は傷付いてしまった─



同じ生徒の中津なら、何も気にすることなく、堂々と希を守れるのに…と。



今俺は、希を守る為に教師の立場を捨てるということは少しも考えなかった。



俺は…
希に相応しいのか?



本当に…
希を大事に想ってるのか?



今の俺は、希を守るとか言って、本当は自分を守りたいんじゃないのか?









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