恋、涙 …



最近、鳴ることのなかったお気に入りの着信音。



急いで携帯を手に取ると、そこには待っていた人の名前が表示されていた。



震える手で通話ボタンを押す。



「もし、もし…?」



『…よぉ、希。』



大好きな人の声─
一言聞いただけで、私の目には涙が溢れていた。



「かー…くん。ずっと…待っ、てた…っっ!」



『おいおい…早速泣きべそか?ったく…2週間だけだぞ?これでも早かった方だっての。』



2週間だけでも…
私にとっては長かった。



かーくんが側にいないことが、こんなにも辛いことだったなんて…



手を伸ばせば届く距離にいるはずなのに、この2週間はかーくんはどこか遠くにいるような感じだった。



「だって…っ!!」



『…わかってる。俺が悪かった。お前に何も言わずに、いきなり突き離すなんて…ごめん。』



かーくん…



『それでな…希。大事な、話があるんだ。聞いて…もらえるかな?』










< 270 / 293 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop