恋、涙 …
「…サイズぴったりだったな。うん…よく似合ってる。」
かーくん…!!
嬉しさと驚きの余り、私は立ち尽くすだけで声すら出せない状態だった。
「希…俺にも着けて?」
そんな時、かーくんが思いも寄らぬことを言った。
私の大好きな笑顔を浮かべて、私に向かって左手を差し出している。
「あっ…は、はい…」
私は震える手でペアリングを取り、かーくんの左手薬指にペアリングをはめた。
「ありがとう。」
たった一言。
そう言われただけなのに…
今日は泣かないで、笑って送り出すって決めたのに…
関を切ったかのように、どっと涙が溢れて来た─
「うわぁぁぁ〜!!」
私は勢いよくかーくんの胸に飛び込んで、おもいっきり泣いた。
「…希、泣くなよぉ…俺だって……っ!!」
別れの時間が近付く。
離れたくないよ…
この温もりを…
離したくないよ─
止まらない涙。
また…会えるのに。
永遠の別れじゃないのに…
こんなに悲しいのは…
どうして?