恋、涙 …
先生のハンカチをズボンのポケットにしまい、私は立ち上がった。
部活…戻らなきゃ。
屋上を出て階段を降り、私は体育館を目指す。
途中で職員室の前を通った私は、足を止めた。
でもなんとなく、先生はここに戻って来ていないような気がした。
あの感じは…
尋常じゃないよね?
普段の先生の姿が嘘だったと知り、私はますます先生に興味を持った。
変な言い方だけど…
要するに、私は謎だらけの先生を理解したい─
光がないあの目に、私が光を宿してあげたい…
お節介かもしれないけど、私は本気でそう思った。
この時は…
先生が想像を絶する暗い過去を背負っているなんて、考えもしなかった。
そして…
私は戻れない道へ、
足を踏み入れることになる─