恋、涙 …
だから、学年主任に日程が書かれた紙切れを渡された時は、一瞬主任を睨み付けそうになった。
俺が…補習だと?
「どういうことですか?」
気持ちを落ち着け、俺は主任に尋ねてみた。
「いや…実は、補習担当の高橋先生が最近体調悪いらしくて…明日から休暇を取る予定なんです。」
要するに、俺に高橋先生の代わりをしろと、そういう風に言うんだな。
「お願い出来ますか?杉田先生が担当なら…生徒はみんな、気合い入れて勉強してくれると思うんですが…」
主任の読みは当たってる。
生徒なんて…
単純な奴らだからな。
俺が笑顔で一言『頑張れ』と言うと、女子は大抵応じてくれるし…
篠原だけは例外…か。
って、なんで俺は篠原のことを考えてるんだ?
忘れろ…バカ。
「…わかりました。で、俺一人でやるんですか?」
それはキツいな…
「まぁ…出来れば。」
冗談だろ…?