恋、涙 …
なんだ…夢か。
飛び起きてすぐに目に入ったのは、本棚に並べられた歴史の資料。
それを見て、俺はさっきのが夢だと確信した。
「…………」
随分はっきりした夢だったな…
さっき見た光景は、俺が高校生の時に実際体験したことで、記憶にも残っている。
「あ…先生、起きました?」
なんであんな夢を見たのかを考えていると、ドアが開いて、篠原が入ってきた。
あれ…?
どうして外から?
「先生寝てたんで…ちょっとトイレに行ってたんです。」
なるほど…
「作業終わりましたよ。あ…雨もさっき止みました!」
篠原はそう言って、部屋の窓を指差した。
「あと…失礼かもしれないんですけど、先生に聞きたいことがあって…」
「…なに?」
まだ少し眠たくて、俺は目を擦りながら返事をした。
「葉月って…誰ですか?」