恋、涙 …



だからって…
なんで今なんだよ?



もうこの際、俺のせいにされても別に構わない。



あれから7年…
月日は経ったんだ。



俺に会いに来る意味が、葉月にあるとは思えない。



同時に…
俺にも、葉月に会う意味は何もないんだ。



「…恭平は?」



久しぶりに口にした、かつての親友の名前。



俺と葉月の仲を裂いたあいつは、今どうしてるのか…



「恭平は…死んだわ。つい最近だけど、交通事故でね。」



死んだ…?



「恭平らしい死に方だった。トラックにひかれそうになってた小さな男の子を庇って自分が…虚しいよね。」



葉月はそう言うと、泣くのではなく、笑みを浮かべた。



なんで…笑う?



「恭平、カズに会いたがってたから…あの時のこと、許してくれなくても謝る気でいたみたいよ。」



恨んでたとは言え、かつて一緒に過ごした奴が死んだと聞かされ、俺は驚きで何も言えないのに…



葉月は笑ってる─









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