恋、涙 …
葉月はあの時、俺より恭平を選んだはずだ。
それなのに、本当は俺が好きだったと言ったり、恭平が死んだのに笑ってるのはおかしいのではないか…?
そう思った瞬間、背筋が凍るような感覚がした。
季節のせいか…
いや、これは違う。
今の葉月は…
どうかしている─
「恭平の代わりにカズに会いに来たって言えば聞こえはいいけど、違うわ。私はそんな女じゃないし…」
「恭平は…本当に死んだのか?」
「うん。恭平はもう…この世にはいない人なの。」
葉月の笑みが、俺には悪魔の顔に見えて仕方がない。
俺は近付いてくる葉月を避けるように後退りする。
怖い…
「ねぇ…カズ。恭平もいなくなったし、もう一度私とやり直さない?」
本気かよ…?
「何…言ってんだよ?」
「その顔…カズはまだ、あの時のままだね。」
こいつ…悪魔だ─