恋、涙 …
途 side nozomi
「……で、次の日から俺は葉月と付き合い出した。」
先生の高校時代…
話は意外に淡々と進み、ここまでだけだと、ただの恋の思い出に聞こえる。
けど…違う、のかな?
先生は話をしている時、一切笑顔を見せない。
私に対してはいつもそうなんだけど、なんだか辛そうにしてる─
「先生は…葉月さんのこと、好きになったんですか?」
「だろうな…でもあの時、試しだって付き合ってみたこと、今は後悔してる。」
後悔…?
じゃあ、さっき見た2人はいい話をしていた訳ではないのかな…?
「葉月がわからない…あいつが今何をしたいのか。それに、恭平のことも…」
私は複雑だった。
何も知らないけど、先生には葉月さんのことをわかって欲しくない。
嫌だ…
そう思ってしまう。
「やっぱり俺…今でも葉月のこと、引き摺ってる。」
「……………」
「それで、今じゃ一番悪い手本の兄貴みたいになっちゃって…俺、最低だよな─」