恋歌Heart
あいつの部屋に着いた。

鍵はかけてないらしく、扉は開いた。

中から声が聞こえる。あいつの声が。

また男を連れ込んでいるんだろう。


「すみませーん!」


市瀬が叫んだ。すると小さい声が聞こえた。


《ちょっと行ってくるわ》


久々に聞いた声で、母親ではなく女の声だった。

「どちら……千景」

驚きの目であたしを見てくる。

「どうしたの…?」

「人殺し」

あたしは言い放った。美恵子を殺したのはあんた。

「千景?」

「美恵子を死に追いやったのはあんただ」

「美恵子…ちゃん?彼女は事故で…」

「あんたが市瀬を脅して、美恵子がそれを見て…死んだんだよ」

睨んでやった。許さないし、あんたなんか母親だと思わない。


< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop