恋歌Heart
「宮下。遅刻だぞ~」

「うっせぇな」


教室に着くと、今は体育なのか担任しかいなかった。

体育館にでもいるのか…


「遅刻ばっかしてっと留年するぞ?」


「中坊ん時から遅刻魔なてめぇに言われたかねぇよ」


「お前、何で知ってんだ!?エスパーか、お前はっ」


この担任は、問題児って言うか…問題教師。

元不良だとか族あがりだとか。


名前は、市瀬 照。
クラスのヤツらからは「てるてる坊主」で、略して「てる坊」って呼ばれている。


「ち・か・げちゃん」

「呼ぶんじゃねぇよ、バカ」

校長も教頭もこいつを辞めさせない。

理事長はこいつはいつか輝くとでも思っている。

「じゃ、千景」


「うっせぇんだよ、話しかけんな」

あたしは廊下に出て、資料室に向かった。

誰も使っていないから、ほとんどあたしの物が置いてある。
昔、吹奏楽が使っていたという場所でもあるから楽器もたくさんある。

今、この学校に吹奏楽はない。


< 4 / 24 >

この作品をシェア

pagetop