COLORS【黄】パープルA─黄昏の明日へ─
「お待たせ」

「廉君。よかったぁ……ちゃんと来てくれたんだね」

待ち合わせは深夜の二十三時四十五分、東京湾沿いにある倉庫。
取引の時間まではあと十五分。

因みに取引の時間は当初の時間より一時間早め、場所も変更させた。
山内たちは彼女の行方を必至になって追っているハズだ。
万が一、この取引に現れでもしたらまた話がややこしくなる。
それだけは避けねばというとこだ。

「当たり前だろ。こう見えても俺は約束は破ったことは無いんだぜ」

「そっか……」

「今日だけは麻美の味方だから」

「うん、ありがとう」



あと十分か……。

「まだ奴らは現れてないみたいだな」
倉庫の中に忍び込んで荷物の後ろに身を潜める。
中央を窺うがまだ誰もいない。


「……廉君って今好きな人いるの?」

「なっ、なっんだよ、こんな時に」

「なんとなくね……気になったの。私ね……廉君のこと好きだったから」

麻美。

「……ごめん。俺、好きなヤツがいるんだ。普段は蠅みたいうるさいんだけど、そいつがいないと寂しくて不安になる」

「そうなんだ……でも私のことは気にしないで。廉君には私が好きだったってことを知っていてほしかっただけ。その人が羨ましい――なんてね」

「麻美……」


――カタ……ン。


どうやらターゲットのお出ましのようだ。

「行こうかっ!!」

「ああ……」
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