COLORS【黄】パープルA─黄昏の明日へ─
深夜0時、時間ジャスト。

中央には三人の男が居る。
真ん中のあの太々しそうヤツが雨宮か――。

どうやら――俺が変声機でヤツらに告げた内容は、山内本人からのものと認識してくれたようだな。

「山内はどうした?」

「急用ができて今日は私が行くように言われたの」

俺は心の中で雨宮たちにもバレないように祈るしかなかった。
とにかくこ作戦が成功するまでは……。

「そうか……まぁ、いいだろう。例のものは持ってきたんだろうな」

「心配しなくてもちゃんと持ってきたわよ」

「よし。いいだろう、こっちもこれが約束の一億だ」

アタッシュケースの中には福沢諭吉がずら~っと並んでいる。
すげ~、初めてこんな大金見たかも。

「同時に交換と行こうか」

「分かったわ」

麻美が『人魚の涙』を手に男たちの方へ進んでいく。

「変な気を起こしたら一瞬で消すぞ」
雨宮の右隣の男が拳銃をちらつかせて言った。

「物騒なこと。でもこっちも同様だってことを忘れないでよね」



麻美がアタッシュケースに手をかけて後ろへゆっくりと下がる。
雨宮の手中には『人魚の涙』が握られている。

「どうやら本物のようだな」

「これで取引は終了ね」

そろそろ藍が出てくるハズなんだが……。
何やってんだ?

「一つ聞きたいんだが、この女はお前たちの知り合いか?」


――女?まさかっ!!


「廉、ごめん~っ!捕まっちゃったよぅ」


あのバカっっ!!


男に銃口を背に当てられながら出てきたのは……、

「藍!!」

この時点で作戦は変更しなければならなくなったのだった。
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