COLORS【黄】パープルA─黄昏の明日へ─
「さてと~そろそろ行ってくるか」
コーヒーを飲み終え、お気に入りのマグカップを静かに置くと席を立った。
「……廉」
「?」
「ううん、なんでもない。行ってらっしゃい」
藍は何か聞きたそうな顔を俺に向けた。
どうせ今朝のことだろう。
あれからずっと自分自身、気になってなんとなく上の空だったしな。
五年も一緒に居ればな……お前の表情だけで言いたいことなんてお見通しだって。
彼女が軽く振った手も俺には言葉と同じ効力を感じていた。
☆
「今日も一日長かったな」
最後の配達を無事に終え、トランクを閉めるといつもの愛車に乗り込もうとした時だった。
「待て~っ!!このヤロウ!!」
男の罵声と共に、複数の足音が聞こえる。
どうやらその男は女を追い掛けているようだ。
しかもこっちに向かってくるではないか。
目が合うと女は、
「助けて下さい!!」
俺を楯にするように背後に隠れたのだった。
「どけ!その女をこっちに渡せ」
俺の前に立ちはだかる男は息を切らせていた。
表情からは怒りの感情をひしひしと感じる。
……ったく。
こっちは事情も呑み込めてねぇってのに。
まぁ、大低この手のパターンは――、
コーヒーを飲み終え、お気に入りのマグカップを静かに置くと席を立った。
「……廉」
「?」
「ううん、なんでもない。行ってらっしゃい」
藍は何か聞きたそうな顔を俺に向けた。
どうせ今朝のことだろう。
あれからずっと自分自身、気になってなんとなく上の空だったしな。
五年も一緒に居ればな……お前の表情だけで言いたいことなんてお見通しだって。
彼女が軽く振った手も俺には言葉と同じ効力を感じていた。
☆
「今日も一日長かったな」
最後の配達を無事に終え、トランクを閉めるといつもの愛車に乗り込もうとした時だった。
「待て~っ!!このヤロウ!!」
男の罵声と共に、複数の足音が聞こえる。
どうやらその男は女を追い掛けているようだ。
しかもこっちに向かってくるではないか。
目が合うと女は、
「助けて下さい!!」
俺を楯にするように背後に隠れたのだった。
「どけ!その女をこっちに渡せ」
俺の前に立ちはだかる男は息を切らせていた。
表情からは怒りの感情をひしひしと感じる。
……ったく。
こっちは事情も呑み込めてねぇってのに。
まぁ、大低この手のパターンは――、