COLORS【黄】パープルA─黄昏の明日へ─
「はい、どうぞ」
――ガチャ。
音を立てて置かれたコーヒーカップからは液体がこぼれて受け皿に滴る。
「ご機嫌斜めのようだな」
「当たり前でしょ」
「誰のせいかはこっちも十分に分かっているつもりだよ」
そう言って翠川はコーヒーを一口含んだ。
「……」
藍は彼に対面するように無言でソファーに腰掛けた。
「時間も無いんでな。廉が帰ってきてないが、早速本題といこう。藍、お前は『人魚の涙』を知っているか?」
「『人魚の涙』……?前に翠ちゃんが言っていたことあったわよね。詳しいことまでは分からないけど」
「簡単に言うと『人魚の涙』ってのは有名な宝石でな。東京・銀座のオリオン美術館に展示してあったたんだんだが……」
翠川は言葉を詰まらせた。
「してあった?ってことは今は無いの?」
「ああ……先日、何者かの手によって盗まれてしまった」
「犯人は?まだ捕まってないの?」
「決定的な証拠が押収できなくてな。犯人の目星は付いているんだが逮捕できない状況なんだ」
「まさか、今回の任務ってその犯人の証拠を見つけろ!なんて言わないわよね?」
藍は冗談じゃないわよ、と言うかのように喰いついてきた。
「それはあまりにも酷過ぎるだろ」
眈々と語る翠川。
「じゃあ……」
「ある人物が、明日の深夜一時、千葉県銚子の倉庫で『人魚の涙』を取引するっていうことを小耳に挟んでな。その人物をマークして犯人とその一味を捕まえてほしい。最悪、どちらか一方でも捕まえればもう片方もすぐに逮捕できるって寸法さ」
「なるほど!!で!!その人物の名前は?」
「雨宮任蔵」
――ガチャ。
音を立てて置かれたコーヒーカップからは液体がこぼれて受け皿に滴る。
「ご機嫌斜めのようだな」
「当たり前でしょ」
「誰のせいかはこっちも十分に分かっているつもりだよ」
そう言って翠川はコーヒーを一口含んだ。
「……」
藍は彼に対面するように無言でソファーに腰掛けた。
「時間も無いんでな。廉が帰ってきてないが、早速本題といこう。藍、お前は『人魚の涙』を知っているか?」
「『人魚の涙』……?前に翠ちゃんが言っていたことあったわよね。詳しいことまでは分からないけど」
「簡単に言うと『人魚の涙』ってのは有名な宝石でな。東京・銀座のオリオン美術館に展示してあったたんだんだが……」
翠川は言葉を詰まらせた。
「してあった?ってことは今は無いの?」
「ああ……先日、何者かの手によって盗まれてしまった」
「犯人は?まだ捕まってないの?」
「決定的な証拠が押収できなくてな。犯人の目星は付いているんだが逮捕できない状況なんだ」
「まさか、今回の任務ってその犯人の証拠を見つけろ!なんて言わないわよね?」
藍は冗談じゃないわよ、と言うかのように喰いついてきた。
「それはあまりにも酷過ぎるだろ」
眈々と語る翠川。
「じゃあ……」
「ある人物が、明日の深夜一時、千葉県銚子の倉庫で『人魚の涙』を取引するっていうことを小耳に挟んでな。その人物をマークして犯人とその一味を捕まえてほしい。最悪、どちらか一方でも捕まえればもう片方もすぐに逮捕できるって寸法さ」
「なるほど!!で!!その人物の名前は?」
「雨宮任蔵」