うたよみ
結局、見て見ぬふりだぜ。これじゃあ。

ああ、君。

まったく世の中なんて虚しいもんじゃないか?

誰かの心も救えずに。

これじゃあ生きる意味なんてあったもんじゃないさ。
いや、あるいは。

生きる無意味こそがあるのかもしれないな。

まぁ結局は似たようなもんさ。

全ては喜びも悲しみも飲み込んだままに、ただ無情に、あるいは無感覚に、混沌とした生と死を繰り返してゆくだけなのだから。

親愛なる君よ。

その目を広げて光を感じてごらんよ。

その命のきらめきの中で、君こそが全て。

そうは思わないかい?



僕の言ってることはよくわからないかい?

でも君が今よりもっと自分をよくするように生きてゆくなら、きっといつかわかる。

正しいも正しくないも、善も悪も持たない世界の、果てしない無限の広がりを。

きっとそこが一つの到達点。
< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop